(2)解析結果

@ 松山測線(図2−5−34図2−5−35

・測線中央CMP140付近を境に,記録は大きく変化する。すなわち,これより南側は標高−550mまできれいな成層構造が認められるのに対して,北側は深度約150m(標高−110m)の反射面以深は,反射が不明瞭となる。このCMP140における境界はほぼ垂直で,非常に明瞭なものであるが,表層の速度層には南北で大きな差はなく,表層条件による見かけのものとは考えられない。従って,高角度の横ずれ断層によるものと考えるられる。この断層はCMP140付近以外に,地表でCMP105に延びる分岐が推定され,屈折法による表層解析でもこの付近にやや低速度の部分が認められる。

・ CMP140より北側の深度150mの反射面は,速度解析では不整合面に特有の回折波による速い見かけ速度(図2−5−12,135msec)が認められ,またこれ以深に明瞭な反射による速度値が認められないことから,基盤岩の上面と推定される。なお,この測線の北端より北西約600mの地点のボーリングで,基盤岩深度は約200mと確認されており,この反射面がそれに対応するものと考えられる。

・ CMP140以南の基盤岩上面は,反射断面では測線長が短いため判断が難しいが,速度解析では深度430m付近(2,733msec,標高−380m)の強い反射面が,基盤岩上面と推定される。

A 西条測線(図2−5−36図2−5−37

・ 図で明らかなように,この地域の堆積層は地表でCMP130付近を軸とする背斜構造を成している。このためマイグレーション前の見かけの傾斜をマイグレーション処理で真の傾斜に戻すと,測線両端の反射記録の得られていない部分が増加する。従って,図2−5−36図2−5−37の断面両側の色の薄い部分の反射記録は,測線の端部であることに起因する

マイグレーション・ノイズの影響もあり,あまり信頼できない。

・ この背斜構造を持つ堆積層は,標高−160〜−190mを境に上下で堆積状況が異なる。すなわち,これよ上の地層はCMP130付近を軸とするほぼ左右対称の背斜構造を持つのに対して,下の地層はCMP170付近を軸とした背斜構造であるが,北傾斜の傾向が深部にいくにつれて強くなる。この標高−160〜−190mの区間の地層は層厚変化が大きく,またP波速度もこの深度を境に変化が大きく,この付近が不整合面になっているものと推定される。以上の堆積状況より,これらの背斜構造は地層堆積後に形成されたものではなく,撓みながら堆積したものと推定できる。

・ この測線では,この背斜以外には明瞭な断層構造などの変形は認められない。ただし,測線両端表層部の反射記録はきれいな成層構造にはなっておらず,測線両端に断層などの構造がある可能性は否定できない。

・ CMP170 付近は地形判読で断層と推定された地点であるが,この断面では地下深部に繋がる断層構造認められず,河食崖と判断される。

・ この測線における基盤岩は測線長が短いため推定が難しいが,標高−700mの反射面が基盤岩上面の可能性が高い。