6−4−1 A測線

A測線の解釈図を図6−4−1に示す。

1地質構成

本測線では,地表から10〜20mの厚さで,沖積層および段丘堆積物に対比される地層が,下位の地層(郡中層および和泉層群)を不整合に覆っている。

CMPbO−280 にかけての地下には,明瞭な反射面を持つ堆積物が分布している。本層は,地表地質から, 郡中層に対比される。郡中層のP波速度は,1,700 〜2,400m/sで,下位ほど速度が大きくなっており,郡中層の基底は, 海面下 − 800mに達するようである。

CMPbQ90−660 にかけての地表から − 100mまでに分布する反射面のやや明瞭な地層は,地表地質から和泉層群に対比される。このP波速度は,3,000〜3,300m/sとなっている。

本測線において, 地下に広がる不明瞭な反射面を持つ地層は,和泉層群と推定される。和泉層群は,本地域の第四紀堆積物の基盤岩を構成している。

また,本測線の表層速度解析によれば,郡中層のP波速度は2,000m/s前後,和泉層群のそれは2,500m/s以上と明瞭な差異が認められる。

2 地質構造

本測線では,地表の地形・地質から,伊予断層および郡中断層の存在が推定されている。

@ 伊予断層

伊予断層は,CMPbO−660 付近を通過すると推定されるが,ここでは,地表から約50mまでの反射面に南側落下を示すずれが認められ,音響断面図からも高角度断層が推定される。

また,CMPbV00 付近にも北側落下を示す高角度断層が推定される。ここでは, 表層速度解析(図6−3−2)においても, 低速度帯が認められ,断層破砕部の存在を示唆している。

以上にように,当測線においては,伊予断層と思われる断層は2本推定され,CMPbU60−700 間は地溝状に落ち込んでいるようである。このような構造は,右ステップする右横ずれの断層によるプルアバートベーズンの存在を示唆している。

A 郡中断層

郡中断層が通ると推定されるCMPbQ80 付近で, 和泉層群と郡中層との境界が推定されるが,音響断面では大きな差異は認められていない。断層は,南へ傾斜しているが,和泉層群(基盤岩)に入るとその傾斜は緩くなり,その反射像は比較的明瞭となっている。

郡中層の層厚は,最大 800m 程度と見積もられる。郡中層は,断層の近傍の上位で北傾斜,中位で南傾斜,下位では水平あるいは緩く波うっているように見え,複雑な褶曲構造を呈している。

断層から北へ離れるに従い,上位から下位までの郡中層は全体として,北傾斜の同斜構造を示し,さらに北方ではほぼ水平となっている。