8−1−3 東部地区

東部地区では、リニアメントは、粟斗地区より西側では山地内に認められ、東側では、山地部と平地部の境界に認められる。

打墨地区では、リニアメントは半島状につき出した山稜鞍部を通過する。ここでは基盤に破砕帯が認められたが、それらを被う第四紀層には、変位は認められなかった。また、その延長方向はリニアメントの走向方向と一致しない。そのため、この断層は鴨川低地帯北断層(活断層)ではないと判断される。

粟斗地区は、打墨地区東方と、仲根地区のリニアメントの西方延長部の間にあたり、リニアメントは認められない。ここでは、待崎川に沿った段丘面が発達しており、リニアメント延長部にあたるが、変位地形は認められない。この段丘面とリニアメントの関係については、宍倉(1999)によっても段丘面の形成以降、活動している様子はないと指摘されている。

仲根地区では、未区分の高位平坦面をリニアメントが横断しており、上位面と下位面が、同一の段丘面であった可能性があることから、変位地形と想定した。それらをふまえて実施した浅層反射法地震探査では、基盤に破砕帯と見られる低速度層が認められたが、ボーリング調査では、被覆層及び基盤に変位を認めることはできなかった。したがって、リニアメントを挟んで変位していると考えた部分は、変位地形ではないということが分かった。

浜萩地区では、リニアメントの通過する波食台に、リニアメントの走向と一致する割れ目は認められず、特に破砕帯等の地質断層も認められなかった。

以上より、一部に地質断層が存在するものの、仲根地区では、同一段丘面上の低崖とした箇所が変位地形ではなく、他に活断層が存在する証拠は認められないため、活断層が存在する可能性は低いと考えられる。