(6)N−6(標高27.94m)

0.00〜0.50m 表土。茶褐色を呈す。

0.50〜1.25m 礫質粘土。淡褐色を呈す。礫は泥岩で強風化する。崖錐状である。

1.25〜2.30m 礫混じり粘土。黒〜暗灰色を呈す。礫は泥岩で、φ=5〜20o程度である。

2.30〜3.17m 礫質粘土。淡青灰色を呈す。礫は泥岩でφ=5〜20o程度。亜角礫。マトリクスはやや軟質で、緩い。3m以深、礫径がやや大きくなる。

3.17〜3.85m 礫混じり腐植質粘土。黒〜暗灰色を呈す。礫は泥岩で、φ=2〜10o程度。亜円〜亜角礫。ピート状の堆積物である。

3.85〜4.23m 礫混じり粘土。淡青灰〜淡暗灰色を呈す。φ=5〜25o程度で、礫率高い。4.0〜4.1mまで、マトリクスやや砂質分を含む。

4.23〜5.20m 礫混じり腐植質粘土。黒〜暗灰色を呈す。上位層と同様である。4.7m付近はやや礫が多い。

5.20〜7.25m 礫質粘土。淡青灰色を呈す。礫は泥岩主体で、φ=5〜30o程度である。マトリクスは泥質分少なく、緩い。角礫状で礫率は約70%程度と高い。崖錐状の堆積物である。

7.25〜7.60m 腐植質粘土。青灰〜黒色を呈す。7.4m以深はピート状の堆積物である。礫は認められない。

7.60〜8.50m 礫質粘土。青灰色を呈す。7.25mまでと同様である。

8.50〜9.10m 礫混じり腐植質粘土。淡緑〜暗灰色を呈す。やや砂質分を含み、炭質物も含む。弱い水平ラミナが認められる。8.77m以深は粘土質で礫混じり。礫は亜円〜亜角礫で、φ=5o程度の泥岩主体。

9.10〜9.20m 砂礫。泥岩礫を主体とする。φ=510o程度で、亜円礫である。

9.20〜10.30m 細粒砂。灰〜淡暗灰色を呈す。泥質分なし。淘汰がよい。海成層だと考えられる。9.70m付近、木片が認められる。

10.30〜14.00m 泥岩。暗灰褐色を呈す。短柱状〜柱状コア。12.0mまでは風化が著しく、破砕され亀裂が発達する。12.0m以深は柱状で棒状コアとなる。

N1〜N4のボーリングのいずれも大きく区分して、上位から崖錐相主体部分1、ピート相主体部分1、崖錐相主体部分2、ピート相主体部分2、泥岩の5つに区分される。それらの代表的な分布パターンを以下に示す。

・崖錐主体層1;

 最上位の崖錐主体層1は、表土および表土直下に分布する。岩相は角礫状の泥岩礫を主体として構成され、いずれの礫も強風化し褐色を呈す。礫率は高くほとんど礫から構成される。一部に腐植層を伴う以外は、ほとんど崖錐状の堆積物から構成される。

・ピート(腐植)主体の粘土層1;

 崖錐主体層1の下位に分布する。岩相は、散点的に泥岩礫(角礫)が混入している他は軟質で、堆積構造等は確認できない。層厚約2.5m程度で、山地側(北側)が低地側(南側)と対比して高い傾向が認められる。

 N1とN2では、ピート主体粘土層が認められる標高がほぼ同じくらいであるのに対し、N3とN2との間では、約0.5m高さが異なる。

・崖錐主体層2;

 ピート主体層の下位に分布する。泥岩礫(角礫)を主体として構成され、礫率は高く、礫主体の堆積物である。マトリクスは腐植質である。上位の粘土層との境界は明瞭である。崖錐主体層中には一部腐植質に富み、礫の少ない部分も認められる。

N4については、途中に腐植質に富む粘土層は認められない。

・ピート(腐植)主体粘土層2;

 腐植主体とする粘土層。腐植主体粘土層1に対比すると、泥岩礫を含む層が所々認められる。また、マトリクス部分にも泥岩礫が混入している。また、N4校では同層に対応する部分は認められなかった。

・岩盤部分

 N1〜4のすべてのボーリングで認められた。上部の未固結層部分との境界付近については、風化しておりまた亀裂等も多く発達し、一部粘土化する様子が認められる。挙措の部分以外は、短柱状〜柱状コアをなす泥岩である。N4については、一部砂岩層が挟在する。

以上の岩相の他に、ピート主体粘土層2と泥岩との間に、砂層および砂礫層が認められる。この部分は他の上位層とは異なり、泥質分はあまり含まない(もっとも山側のN1をのぞく)。また、もっとも南側のN4で認められる砂層は、大変淘汰がよく、泥質分も含まないため、海成の可能性が指摘される。

以上、各孔の岩相による区分の結果から、リニアメントが、変位によって生じた可能性についての検討を行った。

当初、ボーリングはリニアメントを挟んでN1、N2の2孔について実施した、その結果、前記のような岩相区分で構成されていると考えられ、リニアメントを挟んでそれぞれの岩相が山側が高く、平地側が低いという傾向が認められた。堆積当時、水平に堆積したと考えられる粘土質な部分が、傾斜していると可能性があると判断されたため、それらが本当に傾斜しているかどうかを含めて、結果の精度の向上を目指し、さらに2孔のボーリング調査を実施した。

その結果、実施した4孔のボーリング結果のいずれも、山地側が高く、低地側が低いという傾向が認められた。

ピート(腐植)主体の粘土層1と崖錐主体層2の境界を追跡していくと、N2,N3ボーリング境界で、約0.5m程度の標高差が認められる。この傾向は崖錐主体層2とピート(腐植)主体粘土層2の境界でも認められるが、その差は0.3mと減少する。

一方、各ボーリングの基盤の泥岩の出現深度について着目すると、N1〜N4にかけて南側に緩やかに出現深度が深くなるものの、特にN2とN3との間で特に大きな落差があるようには認められない。

以上のボーリングの結果によれば、基盤部分に明らかに段差の認められる部分は存在しない。そのため、この部分は段差ではなくて傾斜していると考えられ、元々の地形を反映したものである可能性が高いと考えられる。N1〜N4のボーリングで認められた堆積物は、山地側(北側)より平地側(南側)へ、緩やかに傾斜した地形を示す。

また、ボーリング結果から、ボーリングコアの岩相は、崖錐状堆積物が主体であることから、現在では、平坦で段丘面に見えるものの、当初の地形は斜面であって、人工的に平坦面が作られた可能性も考えられる。

一方、これらリニアメントの延長は、浅層反射法地震探査のST125〜130の間に位置し、この部分は、ちょうど反射パターンの異なる部分に一致する。浅層反射法地震探査結果からは、基盤上面の未固結層と考えられる部分には、変位等は推定されなかったが、基盤層中に何らかの破砕帯および断層の存在が推定された。しかし、リニアメント上で行ったボーリングの結果では、亀裂の発達した部分等は認められたが、浅層反射法地震探査の結果、得られた低速度帯に対応する、破砕帯や断層の存在を裏付ける証拠は得られなかった。