2−2−2 北断層

北断層のリニアメントは、南断層と比べて全体的に明瞭ではなく、鞍部、傾斜変換線、山地低地境界として散見されるのみである。

《 保田 》

リニアメントは、根本の海岸部では、直線的な海岸線として追跡される。鋸南町元名−保田−大帷子にかけてのリニアメントは、傾斜変換線の存在、尾根鞍部の分布として明瞭ではないが散見される。変換線、鞍部ともに直線的、連続的でない。リニアメントに沿って地すべり地形が多く認められる。

《 市井原 》

リニアメントは明瞭でないが、鋸南町市井原南方の山地内に形成される東西性の低地として認められる。西流する保田川沿いでは地すべり地形が認められる。

《 横根−上畑−奥畑 》

山地に挟在して東西性帯状に低地(緩傾斜地)が分布し、リニアメントは山地境界として追跡されるが明瞭ではない。帯状低地(緩傾斜地)には3箇所の谷中分水嶺が認められる。山地境界に沿って地すべり地形が発達する。

《 金束 》

リニアメントは、東流する加茂川の左岸(北岸)の山地と低地(緩傾斜地)との境界として追跡されるが明瞭ではない。地形境界に沿って地すべり地形が発達し、谷がその堆積物によって埋積されている。

《 五反目−大作−北小町 》

リニアメントは、山地と丘陵地との傾斜変換線として追跡されるが、直線的でなく明瞭ではない。傾斜変換線に沿って鞍部が散見される。

《 打墨 》

北側山地と南側島状分離山地との境界に鞍部が形成されている。

《 花房 》

段丘面上には、リニアメントに伴う変位は認められない。

《 仲根−東町 》

鴨川市仲根−東町では山地と低地との境界部としてリニアメントが散見される。

《 浜荻 》

山地部には風隙が認められるが、リニアメントは判然としない。海岸部の波食台上には東西方向に卓越する割れ目は認められない。