(3)総括

高崎地区では、山地部の北側(前面部)で、幅約50mの弾性波低速度帯が検出され、基盤部分の上面には、凹状の反射面が認められた。また、S波浅層反射法地震探査では、表層付近の堆積物は、水平に堆積している様子が認められる一方、基盤中に低速度帯が確認された。また、高密度電気探査をほぼ同じ測線位置にて実施し、その結果、低速度帯の認められたほぼ同じ位置で、電気低比抵抗帯を検出した。この位置は、10年度調査結果での基盤(保田層群)上面深度が急に深くなる部分と連続する可能性がある。また、低速度帯、低比抵抗帯は、低地部で著しく破砕された基盤(保田層群)を反映しているものと解釈される。また、低地側の速度分布は、山地側に比べて一様でなく、破砕された泥岩の基質に砂岩,泥岩,凝灰岩,玄武岩の岩片状破砕ブロックを含む不均質な岩相の保田層群に対比される。高崎地区の結果から推定される表層部の堆積時代は、約2000年(14C)である。

東側の岩婦地区では、基盤岩を覆う表層の堆積物は山地部分に近いために薄く、各ボーリング間で、対比することが出来ないが、それぞれの未固結層の堆積構造は、乱れておらず、変位を受けている様子は認められない。また、リニアメントが横断すると推定される低地部分にも、変位は認められない。基盤部分は北側から順に、高崎地区と同様に破砕された不均質な泥岩基質の基盤岩(保田層群)と、上部は下位の泥岩起源の風化の著しい粘土層、下部は非破砕の均質な泥岩層、非破砕の細粒砂岩層(以上、三浦層群)を確認した。破砕帯の分布域は、山地部の北側(前面部)で、高崎地区に比べてより山地側に近い。

一方、西側への連続としては、水路部技報(1997,Vol15)によると、鴨川地溝帯の東京湾側の延長部では、顕著な活構造やリニアメントは認められないとしている。