6−3−8 微化石分析結果(石灰質ナンノ化石)

岩井地区における大まかな地質分布状況としては、山地部に三浦層群、低地部には保田層群が分布する。しかし、リニアメント近辺では、両層の関係が直接確認できる部分は認められず、その関係がはっきりとせず、さらにリニアメントとの関係についても不明であった。

今回、岩婦地区で実施したボーリング結果は、それぞれの岩相から、山地部側(南側)で実施したボーリングは三浦層群、低地部(北側)で実施したボーリングは保田層群に対比される可能性が高いことが分かった。しかし、リニアメントから約10m程度、低地側で実施したボーリングでは、岩相としては三浦層群に対比されそうであるが、調査位置としては、低地部分であり、保田層群の可能性も考えられた。そのため、保田層群、三浦層群とリニアメント通過位置の関係を明らかにするために、微化石による年代測定を実施した。なお、調査を行う微化石の種類としては、少量のサンプルで実施可能で、比較的鑑定も速く、精度が高いとされている石灰質ナンノ化石を用いた。

Bi−1 サンプリング深度;13.0m

産出した主要石灰質ナンノ化石は,Cyclicargolithus floridanus, Sphenolithus heteromorphus, Helicosphaera euphratis, Helicosphaera intermedia, Discoaster deflandreiなどで,これらからMartini(1971)のNN4〜NN5帯,Okada and Bukry (1980)のCN3〜CN4帯,すなわち,前期中新世末から中期中新世初めに対比される.これは木の根層下部もしくはそれより下位に対比される.ただし,Helicosphaera属が少なく,Helicosphaera ampliapertaの産出を確認できなかったため,この試料がNN4,NN5いずれに相当するかは不明である.しかし,Discoaster deflandreiが多産することからすると,前期中新世末のNN4 (またはCN3)帯に相当する可能性が強い.その場合,年代値は18.2Maから15.6Maの間に相当する.これは木の根層最下部,またはそれより古いことを示唆する.

また、H. euphratis, H. intermediaが多いことも,NN4の可能性を示唆している可能性がある。

以上の結果から、Bi−1のボーリング結果で認められた亀裂の多い泥岩は、三浦層群に相当すると考えられる。