2 地形・地質概要

鴨川低地断層帯は、千葉県房総半島南部に位置し、北は保田低地−鴨川低地の北側に、南は岩井の低地−曽呂川・太海の低地の南側に推定されている活断層群であり、それぞれ北縁の断層群を鴨川地溝帯北断層(以下北断層と略する)、南縁の断層群を鴨川地溝帯南断層(以下南断層と略する)と、呼ばれている(新編日本の活断層1991)。

この断層に挟まれた東西帯状の地区の中心には東西脊梁状に嶺岡山地が存在し、その最高点は標高408m(愛宕山)にも達する。

この嶺岡山地及び北側・南側の山地を形成する地質は、大きくは嶺岡層群及び火成岩類からなる古第三紀層及び新第三紀層,保田層群,三浦層群からなる新第三紀層からなる。また低地には完新世の段丘が形成され、新しい堆積物が地形面を形成している。

山地斜面には、第三紀層中の地すべりが多く発生し、地すべり地形が頻繁に認められる。

鴨川低地帯北断層に沿っては古い段丘露頭が少なく、現地で第四紀層の変位を示す直接的な露頭証拠は得られていないのが現状である。このため、リニアメントの大半は、いわゆる差別侵食によって生じた組織地形と考えられている。

鴨川低地帯南断層は平成10年度調査によって、変位地形が確認されており、かつ既往文献等において活動性に関するデータも指摘されているため、今年度調査の対象とした。

図2−1−1 地質概要図