(3)古畑地区

踏査の結果からは、明瞭な断層変位の証拠は確認できなかったが、地形的には活断層地形の可能性が強い。丸山川の河口部より、段丘面の区分をリニアメントを横断する部分まで行った。その結果、段丘面は全体として、6面に区分される。沼面よりも古い面は2面が確認される。また、河口から約7.5kmの石堂原地区では東西性の高度増加変化線が認められ、この上流北側で段丘面の段数が増加する。古畑の東西に発達するリニアメントを挟んで、大きく見て北側には、顕著な段丘面が1面のみしか認められない。この段丘面については、その分布の形態や標高等より、リニアメント南側の沼U面に対比するのが適当であると考えられる。仮に、この面が沼T面に対応するとすれば、南側との段丘面との高度差は20m以上となる。沼T面は6000年前という形成年代が得られているため、この変位差はかなり大きいと考えられ、年代測定等によって段丘面の年代を決定する必要があるが、U面に相当すると推定される。リニアメント北側の沼U面に相当する段丘面は、リニアメントを挟んで、南側にもほとんど連続して分布する。そのため、沼U面は明瞭な変位を空中写真では確認できない。

また、リニアメント南側で認められるその他の段丘面は、リニアメント北側には追跡できない。これは、リニアメント北側で段丘ごとの高度差が小さかったために、段丘が保存されなかった可能性と、南側隆起に伴って断層角盆地が形成され、埋積されてしまった可能性がある。

当地区では、精密な面対比と年代決定を行うことによって、断層を挟んだ堆積層の違い、相対的沈降部に変位毎に堆積する特徴的な堆積物(下流に厚い粗粒層や湿地性の細粒層)の情報が得られれば、対比が可能となり、断層変位を推定できる可能性がある。

図3−1−5 古畑地区精査結果