3−3 総合解析

千葉97−1測線および千葉97−2測線の総合的な深度断面図を、図3−22および図3−23にそれぞれ示す。それぞれの図には、上部から表層構造図、測線図、深度断面図が示されており、データ処理の過程で得られる速度構造が深度断面図上にカラーコード化されて表示されている。

速度構造のカラーコードは、速度1500〜1800m/sの範囲は青色系、速度1800〜2400m/sの範囲は緑色〜黄色系、速度2400〜2700m/sの範囲は橙色、速度2700m/s以上は赤紫色で表されている。これらは、地下の反射面の構造形態と大略一致しており、青色系は下総層群、緑色〜黄色系は上総層群、橙色は三浦層群、赤紫色は先新第三紀基盤岩にほぼ対応付けられる。しかしながら、地層傾斜や褶曲等の地質構造の細部については、深度断面図上の反射面の形状、反射波の振幅で議論すべきものである。

反射地震断面図の構造解釈にあたり、測線周辺の基盤岩に到達している深層ボーリング(江東地殻活動観測井、船橋地盤沈下観測井、船橋FR−18、下総地殻活動観測井)の柱状図とSP検層/比抵抗検層を並べ、下総層群、上総層群、三浦層群、先新第三紀基盤深度を対比させた図を、図3−24の深部坑井対比図( 楡井他(1972)、福田他(1974)、鈴木(1996)に加筆)に示す。層序対比は鈴木(1996)を参照した。

地層境界面での反射波の大きさは、地震波の速度と地層の密度に直接関連するが、ある条件のもと(ある程度固化している)では、比抵抗検層の変化とも良く対応する。図3−24で礫層が分布する部分では比抵抗検層の値が大きくなっている事がわかるが、この部分で反射波の大きな振幅が現れることが想定される。

特に、下総層群と上総層群の境界付近の礫層(東京湾不整合)からの強い反射波が予想される。上総層群と三浦層群の境界面では、比抵抗検層の変化は殆どなく、従ってこの境界面からは特徴的な反射波が捉えにくいことが想定される。基盤岩に達すると比抵抗値も大きくなり、強い振幅の反射波が想定される。

上記の既存の深部坑井資料による層序、想定される反射波の特徴等を考慮し、それぞれの断面図で確認できる事柄を以下に記す。