3−3−2 <千葉97−2測線>

本測線の東側約 2kmには、船橋地盤沈下観測井(楡井他(1972))があり、反射法断面図と同坑井の柱状図および検層結果と比較的厳密な対比が行えた。

解釈図を図3−26に示す。基盤岩の上面、三浦層群上面、上総層群上面(東京湾不整合)等を解釈した。

(1) 測線の南端付近で地表より深度約200mに連続性の良い反射面が確認できる(下総層群の上部・下部をわける礫層分布と対応付けられる)。測線の北側に向かって緩やかに浅くなっている。測線全体にわたり、この反射面に段差構造は確認できない。

(2) 測線全体にわたり深度約400m付近の振幅の強い反射面が確認できる(東京湾不整合の礫層分布と対応付けられる)。ほぼ平坦で連続性は良く、測線の北側に向かって緩やかに浅くなっている。測線全体にわたりこの反射面に段差構造は確認できない。

(3) 深度約1100m付近にほぼ平坦な強振幅反射面が確認できる。楡井他(1972)の坑井データとの対比から、これらは「船橋Bシルト層」中に発達する層厚約 15mの砂礫層に対応するものと考えられる。

(4) 深度約1100m〜1500mの範囲にほぼ平坦な成層構造が認められるが、また反射波の振幅の横方向への変化が大きいことが確認できる。このことは、この深度区間で岩相の側方変化が大きい事と対応づけられ、図3−24の「船橋観測井」と「FR−18」(両坑井は極近傍( 1km程度)に位置)の坑井間で地層対応が困難であることからもうかがえる。

(5) 深部基盤岩からの反射波は測線の南端で深度約2500mであり、北端で約2000mである。深度1500m以浅の地層の非常に緩やかな南傾斜に対して、基盤岩の南傾斜は測線全体に亙ってかなり急傾斜(7〜11度程度)である。

(6) 基盤反射波に関しては、測点No.100付近を境界として若干の不連続が認められると共に、その振幅は北側で強く、南側でやや弱くなっている。また、反射波の周波数が北側で低く、南側で高い。この基盤岩の構造形態は、測線の南端から測点No.80付近迄は緩やかな南傾斜であり、測点No.80〜100でほぼ平坦となり測点 No.100〜150の範囲はやや急な南傾斜である。 従って測点 No.40からNo.130の距離間(約2.3km)で基盤岩は南側に約300mの高度差があることとなる。測点 No.160から北側(測線の北側3分の1)は、基盤反射波がやや弱くなっているが、この部分の不均一な発震点の配置、地表地質の影響などにより、S/N比が若干悪くなっていると考えられる。

(7) 本調査測線では、基盤岩から東京湾不整合を切って連続する段差構造など(活断層)は認められない。