3−3−1 <千葉97−1測線>

解釈図を図3−25に示す。基盤岩の上面、三浦層群上面、上総層群上面(東京湾不整合)等を解釈した。

(1) 測線の南西端付近で深度約100mに連続性の良い反射面(下総層群の上部・下部を分ける礫層分布と対応付けられる)が確認でき、北東側に向かい緩やかに深度が浅くなっている。測線の南西端(No.1)から測点No.220付近までは非常に連続性が良い。その北東側で若干連続性が乱れるものの段差構造は確認できない。

(2) 測線の南西端付近で深度約400mに振幅の強い連続性の良い反射面(東京湾不整合の礫層分布と対応付けられる)が確認できる。測線の北東に向かって緩やかに深度が浅くなっている。測点No.280付近とNo.310付近にこの反射面の傾斜が若干変化する箇所が認められる。この部分は発震点の確保が困難な箇所であり、その影響が若干考えられるものの、浅部堆積層の不均質分布が原因である可能性が高い。上記の箇所を除き、この反射面に段差構造は確認できない。

(3) 深度800m〜2000mの上総層群中には、部分的に強振幅となる水平に並ぶ反射波がいくつか認められる。この反射波は礫層の分布と対応していると思われ、横方向への連続性が悪いのは、この礫層の分布の不均質性のためと思われる。

(4) 深度1000mより深部の反射波については、埋め立て地部分(南半分)と丘陵部分(北半分)では違いがあり、丘陵部分の北側の低地部分(測点No.200付近から宮野木ジャンクションまで約2kmの区間)では、反射波が弱くなっている。この原因としては、低地部分での地表地質条件の影響で震源エネルギーがやや不十分であった事も考えられるが、CDPによる反射法では、北半分の反射データの中には南側での発振データも含まれているので、上総層群中の堆積状況が南北で異なっている可能性も否定できない。

(5) 浅部から深部にわたりこの測線の全体的な構造形態は、緩やかな南西傾斜と言えるが、測線南半分の深度1700m〜1900mには、この傾斜と逆の緩やかな北東傾斜の反射面が確認できる。この反射面の形態は、東京湾反射法断面図(加藤(1988))上の上総層群中の反射面と良く対応する(図3−29参照)。

(6) 三浦層群の上面は、測線の南半分(No.1〜No.120)では深度約2400m付近とした。三浦層群中の反射波について、南半分については比較的連続性の良い成層構造が認められるが、北半分については反射波はやや不明瞭である。

(7) 深部基盤岩からの反射波は、測線の南西端付近で深度約2700mであり、北側に徐々に深度が浅くなり、測線の北東端で深度約2300mである。

(8) 測点No.150〜180付近に、基盤岩反射波の若干の不連続、振幅の変化及び周波数の変化が認められる。No.1〜160の区間は基盤岩反射波は振幅がやや弱く周波数が高く、その上位の三浦層群中に周期性のある反射波が認められる。No.180〜200の区間は基盤岩の反射波の振幅がやや強く周波数が低くなっており、その上部三浦層群中には明瞭な反射波が認められない。No.210より北東側(測線の北側3分の1)では、基盤反射波の振幅が弱くなっているが、この部分の不均一な発震点の配置、地表地質の影響などによりS/N比が若干悪くなっていると考えられる。

(9) 測点No.150〜170の範囲で、基盤付近及び深度1500m〜2000m付近に南西へ急傾斜した反射波列が認められるが、これらはこの付近を境としたS/N比の急激な変化に起因して発生する波列(ゴースト)であり、地質構造とは無関係である。

(10) 本調査測線では、基盤岩から東京湾不整合を切って連続する段差構造など(活断層)は認められない。