(1)分布・形態

調査結果をもとに、野辺地断層帯の分布・形態に関して記述すると以下のようになる。

野辺地断層帯の北部では、活断層研究会の野辺地断層にほぼ相当する箇所にリニアメントが判読されるが、リニアメント付近で第四系の変位・変形は認められず、リニアメントは地質の違いに起因する組織地形の可能性がある。

中部では活断層研究会の上原子断層に相当する箇所で、東上がりの低断層崖からなるリニアメントが判読される。地表調査の結果、リニアメントの直近、延長部の3ヶ所で、リニアメントの方向とほぼ同方向の東上がりの逆断層が観察された。断層は高位段丘堆積物を変位させているが、低位段丘堆積物には変位を与えていない。また、この断層の東側には、清水目川より南方で、断層とほぼ同方向の撓曲構造が認められる。

南部では、活断層研究会の天間林断層に相当する箇所でリニアメントが判読される。リニアメントの近傍では、特に坪川から南方で高位段丘堆積物までを変形させる撓曲構造が認められ、北は上述した清水目川付近まで、南は調査範囲のさらに南方へ連続するものと考えられる。

以上のような点から、野辺地断層帯は、西上がり東下がりの撓曲構造(天間林断層相当)を主体としており、上原子付近では、背後(山側)に約4qの副次的な逆断層(上原子断層)を伴っているものと考えられる。