(3)上原子断層について

地形的には、赤川上流付近でリニアメントを挟んで高位面に約10mの段差が認められている。赤川上流地点で確認された断層露頭から採取した軽石質凝灰岩の年代測定を行った結果、フィッショントラック法で0.63±0.15Ma、熱ルミネッセンス法で1.04±0.21Maの値が得られており、軽石質凝灰岩は八甲田第1期火砕流堆積物である可能性が高いと考えられる。

露頭で確認できた断層はリニアメントの直近に位置しており、変位のセンスも同様であることから、連続した断層と判断される。これらの断層は、高位段丘堆積物を変位させているが、宇道坂付近では低位段丘堆積物に、赤川上流地点では沖積低地堆積物に変位、変形を与えていない。本断層は、東北町添沢西方から宇道坂を経て赤川まで確認され、それより南方の天間林村上原子にかけては、同断層に起因すると推定されるリニアメントが認められる。このことから、本断層は、東北町添ノ沢から天間林村上原子にかけての約4kmに分布する東側隆起の逆断層であると考えられる。