(2)段丘面の編年

高位面(旧汀線高度は標高140〜170m)は、地蔵平テフラ(Jzd)より新しいテフラに覆われるが、段丘構成層と地蔵平テフラ(Jzd)の間には、それより古い厚さ2m前後の褐色風化火山灰層が見られ(宮内,1985)、高位面の形成年代は、宮内(1985)によれば約44〜46万年前とされている。今回、赤川上流において高位段丘堆積物の基底礫下位に存在する軽石流堆積物について、フィッショントラック年代及び熱ルミネッセンス年代を測定した結果、それぞれ 0.63±0.15Ma、0.60±0.12Maを得た。

七百面(旧汀線高度は標高90〜120m)は、地蔵平テフラ(Jzd)以上のテフラに覆われる海成面であることから、酸素同位体ステージ9期に形成されたと推定(宮内,1985)されている。

天狗岱面(旧汀線高度は標高60〜80m)は、約19万年前と推定される甲地テフラ(Kac)以上のテフラに覆われる海成面であることから、酸素同位体ステージ7期に形成されたと推定した(宮内,1985)。なお、岩崎(1983b)や大和(1988a)は、宮内(1985)の天狗岱面を甲地テフラ(Kac)以上に覆われるものと八甲田第2期テフラ(Hkd−2)以上に覆われるものとに細分している。

高館面(旧汀線高度は標高24〜45m)は、洞爺テフラ(Toya)以上のテフラに覆われ、酸素同位体ステージ5e期に対比されている(宮内,1985;大和,1988など)。

柴山面は、十和田レッドテフラ(To−Rd)以上のテフラに覆われる河成面であることから、酸素同位体ステージ4期に形成されたと推定される。

三本木面は、段丘堆積物が約1.2万年前の十和田八戸テフラ(To−HP)以上のテフラに覆われていること、段丘堆積物中にTo−HPが認められること(宮内,1985)から、酸素同位体ステージ2期に形成されたと推定される。