(3)撓曲

撓曲構造は、調査地域南部の坪川から作田川、和田川にかけて、背斜の東翼部にみられ、さらに清水目川付近まで連続すると考えられる。撓曲は、中新統四ツ沢層、和田川層及びこれらを不整合に被覆する中新統市ノ渡層、鮮新統甲地層(下部)を変形させ、背斜軸とほぼ平行して南北に延びている。

撓曲構造が最も顕著なのは、調査地域南部の和田川、作田川から市ノ渡川の間で、市ノ渡層や甲地層(下部)は東へ70゚〜90゚の急傾斜もしくは西へ50゚〜90゚の逆転構造を示す。この構造は、天間林村底田でかつて採掘された砂鉄鉱床の坑道で確認されており、大西・友田(1962)によれば、撓曲構造は概ね丘陵部までで、平野(台地)部になると急激に緩傾斜になるとされている。70゚〜90゚の急傾斜帯は、市ノ渡川の北方の栗ノ木沢川付近まで続くが、この間では逆転構造は確認されない。

栗ノ木沢川以北では、地層の傾斜は次第に緩くなり、30゚〜60゚の東傾斜が清水目川流域まで確認できるが、これより北では市ノ渡層や甲地層(下部)の露出がなく、撓曲構造の連続性は確認できない。