(3)調査概要(追加分)

上記の調査の結果を受けて津軽山地西縁断層帯南部の撓曲の変位量をさらに求めるために、追加のボーリング調査を実施した。ボーリングA1(掘進長60m)、A2(掘進長55m)、A3(掘進長45m)及びA4(掘進長33m)はT−3測線沿いで、B3−4(掘進長12m)、A5(掘進長10m)、A6(掘進長10m)、A7(掘進長10m)及びA8(掘進長10m)は地形測量の路線脇で実施した。

ボーリングA1〜A4は、B3−1の深度55〜65m付近に見られた淘汰の悪いTm面段丘堆積物の基底付近の礫層を追跡し、撓曲に伴うTm面堆積物の変形量を求める目的で実施した。この礫層は浅層反射法弾性波探査の反射断面図で一つの反射面としてある程度追跡できる。

ボーリングA5〜A8はB3−7及びB3−8で見られた厚さ5〜6mの砂礫層(Wfb面堆積物)を追跡し、撓曲によるWfb面の変形度合いを把握する目的で実施した。

ボーリングB3−4孔は、以下のように、撓曲構造の背後の分布すると推定される断層の変位量及びトレンチ調査の可否を決定する目的で実施した。下石川地区の谷底低地で大平断層が活動して逆向き低断層崖が出現した場合、谷を形成していた川(旧前田野目川)が堰き止められて沼沢地を生ずる。この沼沢地が新しい堆積物で充填されると平坦地になる。この様子がトレンチ内で観察されれば断層活動のイベントを認識できる。地形測量の結果から、大平断層のリニアメントが谷底低地を通る部分に地形の遷急線が認められたため、この上流側には上記のような沼沢地の堆積物がある可能性があり、この沼沢地の堆積物の確認及び砂礫層の下底を確認するためにB3−4を実施した。