(3)津軽山地西縁断層帯北部及び中部について

前述の浅層反射法弾性波探査の結果、T−1E測線においては反射面に断層の存在を示唆するようなずれは認められず、地表調査においても、崖地形付近に地層の乱れなどは認められない。このことから、断層活動による変位はないものと判断され、既存文献で断層崖と考えられていた崖地形は断層活動によって形成されたものではないと考えられる。前述のように、この崖地形は段丘の内縁に当たることから浸食崖(旧汀線)である可能性がある。以上のことから、津軽山地西縁断層帯北部及び中部においては、撓曲の認められる五所川原市飯詰よりも北側では撓曲及び活断層として評価すべき断層は存在しないものと考えられる。

また、T−1W測線の反射断面図でも、反射面に断層の存在を示唆するようなずれは認められない。反射断面図の西端付近では反射面がやや上向きに上がっているのは、大沢・平山(1970)の「五所川原背斜」の東翼部にかかっているものと思われる。図2−3−7に示す国道の下、深度300m付近の数枚の反射面は上位の反射面にそろって切られていることから何らかの不整合面が現れていると考えられる。したがって沖積平野の小丘列のリニアメントは変位地形ではないものと考えられる。現地調査の際に小丘の一部を掘削してみると淘汰の良い未固結な砂からなっていることが明らかとなった。このことから、小丘そのものは浜堤列であると考えられる。