(1)地質構造概要

本地域に分布する新第三系は、全体的には南北性の走向を持ち、緩く津軽平野側(西)へ傾斜する同斜構造となっているが、津軽半島脊梁部のドーム構造へ近付くにつれ、小さな背斜や向斜を繰り返すようになる。南部の五所川原市前田野目〜飯詰地域では、山岳部に分布する小泊層上部の黒色泥岩が、全体的には10°〜20°で西へ傾斜しているが、短軸の背斜・向斜が認められる。不動滝層は10°〜15°程度で西側へ傾斜するが、その上位の大釈迦層・立山層の傾斜は5°〜10°と減少して、西側ほど緩やかな地質構造となっている。

青森県(1981)によると金木町北部のボーリングコアでは地表下120m付近に鶴ヶ坂凝灰岩部層の上面と考えられる地層が分布する。したがって、この結果と地表での分布を結ぶこの地点に分布する立山層は、4°〜5°程度で西側へ傾斜しているものと推定される。五所川原市金山付近の段丘堆積物(Wf面に相当)は、ほぼ平坦であり、地層の傾斜は認められない。

また五所川原市金山東方の長者森山付近では、その東方で西傾斜をもって沖積面下に没した立山層の鶴ヶ坂凝灰岩部層が、再び地表面に露出している。また同様の現象として、原子東方の狼長根付近において、段丘堆積物(Tmに相当)分布域中に立山層の鶴ヶ坂凝灰岩部層が島状に露出する。これは、この地域で立山層主部または鶴ヶ坂凝灰岩部層が局所的に厚層化しているか、あるいはこの地域の隆起量が局所的に大きいことが考えられる。

五所川原市飯詰〜金木町南部一帯の山岳地域に分布する味噌ヶ沢層及び立山層は、25°〜15°の傾斜をもって西側へ傾斜しているが、平野側ではほぼ平坦な構造をなしており、山岳部の隆起量が相対的に大きかったことを示している。この地域の段丘堆積物(Vm面に相当)は、ほぼ平坦であり、大きな傾動は見出せない。

金木町以北の地域では、調査地域東縁部の山岳地域に分布する小泊層・不動滝層・味噌ヶ沢層は、20°〜30°をなし、局所的には40°前後の傾斜をもって西へ傾斜しているが、この上位の立山層は10°以下のごく緩い傾斜を示す。このため、丘陵部の基部に立山層下部を占める鶴ヶ坂凝灰岩部層が広く追跡できる。また、この地域に分布する段丘堆積物(Vm面に相当)は、水平構造をなしている。