(1)機械ボーリング

機械ボーリング(以下、単にボーリングとよぶ)調査は、a. 深掘りボーリング調査(掘進長30m以深)、b. 浅掘りボーリング調査(掘進長30m未満)からなる。実施したボーリングの数量を表1−2−9に示す。実施位置については、各調査地区の調査位置図に掲載する。なお、ボーリングの作業状況写真及びコア写真、20分の1ボーリング柱状図を報告書資料編に添付する。以下に各調査について記述する。

(1) 深掘りボーリング調査

反射法弾性波探査測線付近において、断層による累積変位を確認するため、鍵層の分布深度を把握することを目的として、深掘りボーリング調査を実施した。

(2) 浅掘りボーリング調査

トレンチ掘削調査予定地域において、トレンチ掘削前の地質状況把握とトレンチ外及びトレンチ底以深の火山灰及び年代測定用試料の採取を目的として、また、断層による累積変位を確認するため鍵層が比較的浅い場合に浅掘りボーリング調査を実施した。

ボーリング作業は、図1−2−11に示すボーリング機械(ロータリー式オイルフィード型)を用いて実施する。以下に、ボーリング調査の作業について記述する。

a 孔径及び試料採取

孔径86mmとし、オールコアサンプリングで掘削した。

b コア採取率

極力試料の採取に努め、砂礫層については、50%以上、シルト層、ローム層については90%以上採取することとし、採取率は上記の基準を満たした。

c 孔口標高の測量

ボーリング掘削を始める前に各ボーリング孔の孔口標高を測量し、その精度は三等水準測量とした。

d 採取コアの処理

採取コアの処理作業状況写真を報告書資料編に添付する。

@ 採取コアの半割り及び写真撮影

採取したコアは、1mごとに半割りにした塩化ビニール製のパイプ(内径76mm、不透明)で挟んで、合わせ目に沿って縦方向に半割りにした。パイプの表面には、地点番号(孔番)、深度、上下方向を記した。切断には木工用ノコギリ及びスクレーバーを使用し、砂礫などで切断できない礫は極力そのままにしたが、大きなものはハンマーで砕いて大きな破片を入れた。

半割りにしたコアの片方は分析用試料採取用とし、もう片方を観察・保存用とした。写真撮影時にはコアの切断面を金属ヘラできれいにし、5m毎、25m単位で写真撮影を行った。このとき、地点番号(孔番)、深度、スケールを表示した。写真撮影後、半割りにしたコアは塩化ビニール製のパイプごとサランラップで梱包し、切断面を上にして分析用試料採取用コアを下に、観察・保存用コアを上に、2段に重ねてコア箱に収納した。

A 柱状図の作成

写真撮影後、コアの切断面を観察し、層相、粒度、色、固結度、堆積構造、テフラの特徴等を記載した縮尺20分の1の柱状図を作成した。柱状図には、後述するように採取した試料の番号と採取した範囲を示した。

B 分析用試料採取

採取試料分量は、対象層厚が10cm以下の場合は、分析用試料採取用コアの半割分全部(コア外周の汚染部分は削る)をまた10cm以上の場合は厚さ10cm分を単位として、上部・中部・下部のように代表的な部分を適宜採取しさらに大きなポリ袋に入れ、火山灰分析と年代測定に分け、地点番号や深度番号を記入して整理した。採取した試料リストを資料にまとめた。

e 汎用試料採取

写真撮影後、半割りにしたコアは塩化ビニール製のパイプごとサランラップで梱包し、切断面を上にして、分析用試料採取用コアを下に、観察・保存用コアを上に、2段に重ねてコア箱に収納し、汎用試料とした。

f 試料の分析

採取した分析用試料から年代測定、火山灰分析を行った。なお、分析に必要な分量以外は保存した。

g 採取試料の保管

諸分析用試料の残りはそれぞれ段ボールに詰めて保管する。