(2)極浅層反射法弾性波探査

(1) 目的

前述の浅層反射法弾性波探査は、測線下の深度数百m程度までの地質構造を調べる目的で実施した。極浅層反射法は、深度数十m程度を対象とし、地下浅部の断層あるいは撓曲の有無を明らかにすることによって、トレンチ位置の決定に役立てることを目的として実施した。

(2) 測定諸元

測線は、トレンチ掘削を計画した浪岡町下石川の2箇所で、リニアメントと直交する方向に配置した。各測線の測定諸元は表1−2−6に示すとおりである。

(3) 探査の概要

極浅層反射法弾性波探査の測定は、基本的には、前述の浅層反射法弾性波探査と同様である。ただし、対象とする深度が浅いことから、探査の分解能を向上させるために、以下のような点が異なっている。

振源には、高周波数の弾性波を発生させることが可能なポータブルバイブレータを使用する。一般に、高周波数の弾性波は地中での減衰が激しいが、バイブレータにより数秒間のスウィープ(周波数が徐々に変化する連続振動)起振を行うことで透過エネルギーを増加させることができる。これに合わせて、受信器も高周波数の振動を検知できるものを使用する。また、起振点受信点間隔を短くし、より微細な構造を検出できるようにする。起振点受信点の位置関係も浅層反射法と同様であるが、対象深度が浅いため、オフセット距離を短くする。

極浅層反射法探査の測定に使用した機器の一覧を表1−2−7に示す。

(4) 測定方法

極浅層反射法弾性波探査の測定に先立って測量を実施し、1m間隔で杭の打設を行い、地盤標高を測定した。

極浅層反射法弾性波探査の測定手順は、前述の浅層反射法弾性波探査と同様である。図1−2−6に極浅層反射法弾性波探査の測定方法模式図を示す。また、報告書資料編に現場作業状況の写真を添付する。

(5) 解析方法

バイブレータ振源はスウィープ信号と呼ばれる連続波を発生するため、収録した波形記録はそのままの形では解析できない。そこでまず、受信器における受信波形と振源におけるモニター波形の相互相関を計算する処理を行う。これによって重錘落下振源などのインパルス型振源によって取得した波形と同等の記録を求めることができる。

相互相関処理は、実際には現場でパソコンを用いて行い、処理後の波形記録を収録するため、以後の処理・解析は前述の浅層反射法弾性波探査と同様である。なお、解析にはパソコンを使用し、反射法探査データ処理ソフトSEISTRIX3(Interpex社製)を用いて処理を行った。