1−2−1 調査概要

先述のように、平成8年度調査では折爪断層の活動についてかなりの部分が明らかになっていたが、最新活動時期については検討すべき点があった。

最新活動時期の把握にはトレンチ調査などの手法もある。しかし、折爪断層は、時間の基準となりうる段丘面(段丘堆積物)の分布範囲では幅の広い撓曲をなしており、断層という形態を示すと思われる県境付近では時間の基準となりうる段丘面(段丘堆積物)が乏しいことから、トレンチ調査の実施は極めて難しい。

そこで、最新活動時期を把握するにあたり、地形地質精査と水準測量を併用し、断層(撓曲)の両側に分布する段丘面の変位を精度をあげて測定した。調査範囲は、折爪断層の北部(辰ノ口撓曲)を河川が横断する3ヶ所で、馬淵川沿いでは名川町高瀬、浅水川沿いでは五戸町浅水、五戸川沿いでは倉石村中市である。