1−3−7 まとめ・今後の問題点

以上は、入内断層の最新活動時期を約3,500年前、活動周期を約3,500年と仮定して単位変位量を算出し、入内断層が青森湾西断層及び浪岡撓曲と同時に活動すると仮定した上での検討結果である。

入内断層は、都市直下に存在する断層であること、平均変位速度がA級に近いB級であるため、比較的頻繁な活動が予想されること、大規模な地震の起こす可能性があることが明らかになった。今後、さらに調査を行い、活動の規模や周期を明らかにしていく必要がある。以下に今後の問題点を示す。

・最新活動時期(約3,500〜3,800年前)は、今回得られたデータの中では確実性が高い。しかし、状況証拠である液状化痕から推定しているため、撓曲(断 層)変位から最新活動時期を明らかにする必要がある。

・複数の撓曲(断層)活動を確認し、活動周期を明らかにする必要がある。

・既存資料(青森県,1990)により、鶴ヶ坂凝灰岩部層から平均変位速度約0.8〜0.9m/千年が推定された。しかし、入内断層が撓曲からなり、撓曲の幅を跨いで分布する地層が少ないため、鶴ヶ坂凝灰岩部層以降の平均変位量が明ら かになっていない。

・単位変位量を明らかにする必要があるが、入内断層が撓曲からなるため撓曲全体の単位変位量を明らかにすることは難しいと考えられる。。

・入内断層が撓曲であることを念頭に置き、今後の調査を計画する必要がある。

また、入内断層が確認された約12kmの範囲の撓曲(断層)だけで活動していないこと推定され、入内断層の分布範囲及び近傍の断層(青森湾西断層等)の関係についても調査する必要がある。