(1)地質概要

本地域に分布する地質は、表2−2−1の地質層序表に示したように、新第三系の中新統・鮮新統及び第四系更新統・完新統からなる。

新第三系は中新統の四ツ沢層、和田川層、鮮新統の尾開山凝灰岩層(大落前川層)、遠部層が分布し、第四系は下位より更新統の大釈迦層、八甲田第1期火砕流堆積物・岡町層・八甲田第2期火砕流堆積物・ 段丘堆積物及び十和田カルデラ軽石流堆積物、完新統の段丘堆積物・扇状地堆積物・氾濫原堆積物・自然堤防堆積物・地すべり堆積物及び崖錐堆積物・現河床堆積物が分布する。なお、これらのうち、中新統の四ツ沢層、尾開山凝灰岩層(大落前川層)、遠部層はボーリング資料により確認されているもので、地表には分布しない。

これら地層の分布は地形に対応して入内川を境に異なり、それより西側では新第三系の中新統、鮮新統及び第四系更新統が浅く分布しているのに対し、東側では、主に更新統の八甲田第2期火砕流堆積物及び完新統が分布している。それらより下位の地層(主に新第三系)は地下深部に分布していることが既存ボーリング資料により判明している。新第三系は、主に青森空港より南の地域に露出し、一般に急傾斜で、いくつかの断層で分断され、複雑な地質構造をなす。更新統の八甲田第1期火砕流堆積物・岡町層・八甲田第2期火砕流堆積物や段丘堆積物の一部は10゚〜20゚の緩傾斜で平野側(北〜北東)に傾く。

このように、入内川を境とする地層の分布・構造の差異を根拠に断層(入内断層)が推定されている。