1−2−5 調査・解析の流れ

上述した調査の結果と既存のデータを総合し、断層の位置・センス・形状、地層あるいは段丘面の年代と断層による変位・変形、断層の活動性(活動度・平均変位速度・最新活動時期の概略)について解析を行った。

調査・解析の流れは以下のとおりである。

<断層の位置・センス・形状の把握>

@ 入内断層については、地表調査結果を縮尺1万分の1及び2万5千分の1の断層図、地質図にまとめ、地表調査では解明できない火山山麓地域については既存のボーリングデータにより縮尺縦5千分の1、横2万5千分の1の地質断面図を作成した。地質断面図は断層に直交する2断面、平行する2断面を作成した。

また、平野下については、既存の地盤ボーリング柱状図を基に、完新統の下部シルト層下限面及び基底面深度を縮尺2万5千分の1の等高線図として表現した。

A 折爪断層については、地表調査結果を縮尺1万分の1あるいは2万5千分の1の断層図、地質図、走向線図、地質断面図等を作成した。地質断面図は縮尺2万5千分の1で断層に直交する5断面を作成した。

B 図面作成に際しては、地層対比の根拠を示すとともに、テフラや文献の考古遺物による年代あるいは14C年代値との間に矛盾や問題点がないか検討した。

<地層あるいは段丘面の年代と断層による変位・変形量の認定>

@ 地層あるいは段丘面の年代についてはテフラ分析結果による同定や文献の考古遺物による年代あるいは14C年代値を参考にした。

A 個々の地層あるいは段丘面の変位・変形については、断層等の構造運動によるものかどうか、その変位・変形量が誤差を考慮しても有意な差であるかどうかを吟味して認定した。

<断層の活動性(活動度・平均変位速度・最新活動時期の概略)>

@ どの年代の地層が断層によってどれだけ変位しているか、それぞれの断層ごとに検討し、断層の平均変位速度とその地質学的時間における変化を検討した。

A 最新活動時期を検討した。

B 以上のことから断層の活動性の概略を把握した。