(2)花粉分析

花粉分析の結果は、図3−27に示すとともに、以下に試料ごとにその特徴と推定される古気候・古環境について述べる。

@ 試料P−1:bP6−1(H層中、深度21.15〜21.20m)

木本花粉:マツ属とコナラ亜属が優占。その他ハンノキ属、トネリコ属、スギ属、カバノキ属を産する。

草本花粉・シダ植物胞子:ミズバショウ属近似種、イネ科、シダ植物胞子が多産。

カヤツリグサ科、ヨモギ属を伴う。

予想される古環境

湿地的環境、後背地に針・広混交林の分布が推定。冷温帯〜亜高山帯気候が推定される。

A 試料P−2:bP6−1(H層中、深度24.95〜25.00m)

木本花粉:コナラ亜属とハンノキ属が優占。マツ属、スギ属、クルミ属、カバノキ属、ニレ属−ケヤキ属、トネリコ属を伴う。僅かながらアカガシ亜属やハリゲヤキ属を産する。

草本花粉・シダ植物胞子:イネ科、シダ植物胞子が多産。カヤツリグサ科、ヨモギ属を伴う。僅かながらミズバショウ属近似種を伴う。

予想される古環境

湿地的環境、後背地に落葉広葉樹林の分布が推定。冷温帯性気候(P−1よりやや暖かい気候)が推定される。

B 試料P−3:bP6−2(H層中、深度18.10〜18.15m)

木本花粉:コナラ亜属が優占。ヤナギ属、ハンノキ属、トネリコ属を高率に含む。

その他、マツ属、スギ属、クルミ属、クマシデ属−アサダ属、カバノキ属、ニレ属−ケヤキ属を伴う。    

草本花粉・シダ植物胞子:イネ科、カヤツリグサ科が産出。

予想される古環境

湿地林的環境、後背地に落葉広葉樹林の分布が推定。冷温帯〜中間温帯性気候が推定される。

図3−27.花粉分析結果−−