3−1−3 調査結果・考察

音波探査の断面((2)で延べた処理を行った後の断面)は、巻末に添付するとともに、図3−8に縮小して各断面を順番に配列した。

図3−8.音波探査(東西測線)断面に現れたKY−3断層による変形構造

図左側がブーマー,右側がチャープの断面(左右の断面はほぼ同じ位置で実施し,北から順に配列している).

音波探査結果(断面)から、明瞭かつ連続性の良い反射面を認定(0面からZ面までの8面)し、かつその内部の反射パターンにより地層を上位からa層(a0〜a5層に細分)、b層、b´層、H層、G層(H層、G層は平成15年度成果から踏襲した)に区分した。

各断面について反射面や地層区分を追跡・チェックし、解釈断面を作成した。以下、この解釈断面に基づいて、地質構造などの特徴について述べる。

1)ブーマーによる音波探査断面

ブーマーによる音波探査断面では、ほぼ推定された位置で沖積層に及ぶ変形構造が認められた。平成15年度実施したB−3測線とほぼ一致するE−300測線においても沖積層中の反射面及びその変形構造が良く表れており(図3−9)、KY−3断層の活動が、a層堆積開始以降、複数回活動している(変位の累積性が認められる)可能性が高いことが再確認された。

2)チャープソナーによる音波探査断面

チャープソナーによる音波探査断面では、ブーマーの探査断面では追跡が困難であったT面が断層により変形している可能性が高いこと、さらに海底直下に新たな反射面(0面)も表れており、0面も変形している可能性があることが判明した(図3−9)。なお、主な断面における0面、T面の位置と表れ方を図3−10に示した。

図3−9.音波探査(東西測線)断面の解釈

ブーマー断面の地層区分は,平成15年度調査結果に基づく.水色に着色した最上位の地層(a層)は,完新統と推定される.一方チャープ断面では,所々不鮮明ながらT面と0面が読み取れ,ともにKY−3断層により変位・変形しているようにみえる.

図3−10.チャープ断面における0面、T面の読み取り位置

青い矢印が0面、赤い矢印がT面の位置を示す。0面、T面とも濃い部分が帯状に表われているが、その表われ方は断続的でありしばしば追跡が難しくなる。