2−3 平成16年度調査

平成16年度調査は、北由利断層帯KY−3断層に焦点をあて、断層の活動性,活動時期を明らかにするために、音波探査と海域ボーリング調査・試料分析などを実施した。調査の結果、平均変位速度、活動履歴、最新活動時期は以下のように評価された。

1)平均変位速度

KY−3断層の見かけ上下変位速度値は、0.5m/1000年〜1.0m/1000年の範囲に入る(平均0.65m/1000年)。平均変位速度からみるとB級活断層に相当する。

2)活動履歴

2400年前以降に1回、10500年前から10800年前の間に1回活動した可能性が高い。その間にも、地層の層厚変化などから2回程度活動した可能性が考えられる(図2−4)。

3)最新活動時期

最新活動時期は、2400年前以降の可能性が考えられる。なお、北由利断層によって引き起こされた可能性のある歴史地震は、1644年の羽後本荘地震(M=6.9)があるが、この地震は本荘付近の局地的な地震の可能性が高く、少なくとも本荘より秋田に近いKY−3断層の活動によるものとは考えにくい。

図2−4.KY−3断層の活動を記録した地質断面(E−300測線)

完新世の地層(a層)中には複数回活動した記録が読み取れる.

最新活動は2400年前以降の可能性がある.