4−4−2 分析結果

測定結果は、表4−4−1に示した。

堆積物中の硫黄の主な供給源は、水中に溶解している硫酸塩がバクテリアの作用により、硫化水素に還元され、これが水中の鉄と反応して硫化鉄となり堆積物中に固定されたものである。

硫酸塩は、淡水中では極めて少ないが、海水中では淡水の100倍近い高濃度で存在していることが知られている。それは堆積物にも現れ、陸成層の場合は0.3%以下、海成の泥層は0.3−3.0%の含有量を示すことが知られている(狛ほか、1983)。

本分析結果は、15−1ボーリングの13.74mと15−2ボーリングの18.10mが0.3パーセント以下を示したが、他は0.3パーセント以上の値を示した。15−1ボーリングの17.55mと20.30mは、1パーセント以上の値を示した。

よって、15−1ボーリングの13.74mと15−2ボーリングの18.10mは淡水域の可能性が示唆されるが、他の試料については、海域もしくは汽水域の可能性が考えられる。

堆積物中の硫黄の含有量は、堆積物の粒径に影響を受けるとされるほか、地下水の影響を受けることが知られている。そのため、単純に測定値から判断するのは危険であり、詳細な層相観察の結果も踏まえて総合的に判断されなければならいが、今回の結果と珪藻分析から推定される環境とはおおむね一致していると考えられる。

表4−4−1 全硫黄分析結果