4−2−1 分析方法

花粉・胞子化石の抽出方法は、以下の手順で行った。

分析試料は、コアの新鮮な部分を採取して、10g前後を秤量する。塩酸処理により炭酸塩鉱物を溶解し、遠心分離法により水洗を繰り返して溶解液と塩酸を除去する。フッ化水素酸処理により試料中の珪酸質を溶解し、遠心分離法により水洗を繰り返して溶解液とフッ酸を除去する。残渣沈殿物に重液(ZnBr2比重2.2)を用いて遠心分離法にて鉱物質と有機物を分離させ、浮上した有機物を濃集する。濃集した有機物残渣を遠心分離法により水洗を繰り返して洗浄する。有機物残渣に氷酢酸を用いて脱水した後、アセトリシス処理(濃硫酸:無水酢酸=1:9)を行い植物遺体中のセルロースを加水分解する。その後、遠心分離法により氷酢酸に置換し、さらに遠心分離法により水洗を繰り返して、酸分を除去する。最後にKOH処理(10%溶液)により腐植酸を溶解し、遠心分離法により水洗を繰り返して腐植酸とKOHを十分に除去する。

検鏡に当たり、プレパラートの作成は、タッチミキサーでよく攪拌した直後の残渣液を木本花粉の合計が200個体以上になるようにマイクロピペットで適量とり、グリセリンで封入する。検鏡は、生物顕微鏡のプラン・アポクロマート対物レンズを用い、通常400〜600倍(必要に応じて1000倍)で観察し、プレパラートの2/3から全面を走査し、その間に出現した全ての種類(Taxa)について同定・計数する。なお、花粉化石の産出が非常に少ない試料については、プレパラートの全面または複数のプレパラート全面を走査・観察して花粉化石の同定・計数を行った。