4−4 地形面区分

表4−4

由利丘陵における地形面はなだらかとはいえ山岳地域であるため、平坦面の発達は乏しい。しかし、開析の進んだ衣川には連続する低位の段丘地形が発達し、14C年代は7,600年BPを示すことから縄文海進時の完新世段丘とし、これより高い位置の中位、高位の段丘を区分するとともに他の河川の段丘区分を進めた。

段丘の区分では分布が狭いと扇状地性堆積物や人工的な地形改変により地形面としての判断に迷う場合が多いので、表4−5に示す段丘認定作業における信頼度のランク分けを行った。これは小池ほか編(2002)による「日本の海成段丘アトラス」の基準の確実度をここでは段丘認定作業における信頼度に読み直し、さらに段丘の信頼度Vを段丘面の広がりからVa、Vbに細区分したものである。

由利丘陵でのこのような地形面区分と合わせて、雄物川及び子吉川の流域において文献をもとに段丘面を確認し、調査地域の段丘面と比較した(図4−4)。この結果、地形面を表4−4のように整理した。

注)文献による中位段丘の区分

雄物川流域の中位段丘;内藤(1965)により段丘の区分が行われ、Nakata(1976)はこれを引用し海成段丘としている。小池ほか編(2002)による「日本の海成段丘アトラス」ではこれらと同じ見解で、段丘確実度Vの5e、5c、5aに分類している。

子吉川流域の中位段丘;佐藤(1982)は本庄市近傍の段丘を堆積物が薄いことから低位段丘と推定している。しかし、この場合の隆起速度は30m/103年と異常値を示す。小池ほか編(2002)は海成の中位段丘とし、段丘確実度Vの5e、5cとしている。