7 来年度の調査課題および調査計画

本調査では、文献調査および空中写真判読、地表踏査、反射法探査等を実施し、能代断層の活動性の概要を推定した(表6−3−1)。その結果は既往の調査結果と大局的に異なるものではない。

よって、来年度の調査の基本方針は本調査で得られた知見をさらに詳細に検証してゆくことである。具体的な調査課題は、本調査では推定にとどまっている最新活動時期および単位変位量、平均変位速度、再来間隔等について、より詳細かつ確実なデータを得ることである。

本調査で判明した能代断層の基本的変形形態は撓曲構造である。少なくとも後期更新世以降の堆積物は切断されていない可能性が高い。したがって、トレンチ掘削により断層の性状を直接確認する調査手法は適用できない。しかし、八郎潟北岸に認められる隆起汀線と判断される沖積面の段差や米代川南岸の沖積面の撓曲は、これら沖積面の形成史を解明することによって能代断層の最新期の活動性が評価できることを示唆している。そのための調査手法としてはボーリングやジオスライサーによる地質構造確認・対比とそれらから採取される試料の分析による地層の年代決定が有効かつ主体になると考える。

来年度の具体的な調査計画案を表7−1および図7−1に示す。

この調査計画では、地形・地質の特性と解明すべき事項との関係により調査区域を3地区に区分した。各地区の概要を以下に記す。