6−1−3 中位段丘4面(M4)

中位段丘4面(M4)は、畑谷地区の高野野付近、東雲地区の米代川の北岸、および八郎潟北岸地区の川尻付近などに分布し、主として河成砂礫層によって構成されている。本調査でM4面の構成層に明瞭な海成堆積物は確認されていないが、内藤(1977)は、M4面に相当する畑谷V面、東雲V面などの構成層が能代断層の撓曲崖付近の低標高部では海成に近い層相を持つと記述している。

本調査でM4面構成層から検出されたテフラは、米代川の北岸の1地点だけであり、他地区での区分はM2、M3面との相対的高度差からの推定による。

米代川の北岸では、河成砂礫層に挟在する薄い砂質シルトからK−Tzの可能性があるガラスが検出された。K−Tzが降下した酸素同位体ステージ5bの小海退期に河川環境にあったことを示唆しており、M4面を同位体ステージ5aの地形面と推定した。これは南関東の三崎面に対比される。

内藤(1977)の記述から、調査地における同位体ステージ5aの海進期の汀線は、能代断層撓曲崖付近に位置していると推定され、主要な河川沿いに段丘が形成された。