3−7−5 能代地震(1694)以前の活動

米代川地区では、十和田aテフラの変位に加え、米代川の沖積1面離水直後に形成された腐植土層(形成時期約6,000年前)と、十和田−八戸テフラ(降下時期12,000〜13,000年前)の降下層準にも累積的変位が認められた。沈降側に分布する堆積物の層相変化の検討と、連続的な年代測定の結果、断層変位によって生じた高度差は、それぞれ約4,000年前と10,000年前には解消されたとみられる。このことから4,000〜6,000年前および10,000〜13,000年前にも能代断層の活動があったと推定した。

微地形測量の結果、八郎潟北岸のA1〜A3面の旧汀線高度が示す勾配は、縄文海進の最大海進期以降2回の断層変位があったとする米代川の地質解析結果と調和的である。