3−6 米代川〜八郎潟地域の能代断層の活動性比較

能代断層の平均変位速度は、米代川で十和田−八戸テフラ(12〜13ka)の変位量(11〜12m)から、0.85〜1.00m/1,000年と推定した。この平均変位速度は、最新活動時期が能代地震であり、3回前の断層変位が十和田−八戸テフラの降下時期に近いとすれば、断層変位1回あたり3〜4m/5,000年=0.6〜0.8m/1,000年程度となる。一方浅内沼測線と八郎潟北岸では同位体ステージ5に相当する堆積物の上面の高度差から、それぞれ1.25〜1.50m/1,000年、0.25〜0.50m/1,000yと推定した。

3地域における平均変位速度を比較すると、浅内沼測線は、米代川や八郎潟北岸に比較して明らかに大きな値を示している。3−2項では、その原因として浅内沼測線沈降側の同位体ステージ3〜4に相当する堆積物が、同位体ステージ5の堆積物を削剥して堆積したため、見掛け上同位体ステージ5に相当する堆積物の上面が深部に現れ、変位速度が過大に評価されている可能性を指摘した。