3−5−2 酸素同位体ステージ5c(約10.5万年前)

同位体ステージ5cに相当する段丘面は、米代川北方の東雲台地に広く分布する。堆積物下位の砂層にクッチャロ羽幌テフラ(Kc−Hb: 降下年代120ka,同位体ステージ5d/5e)の可能性がある火山灰を含み、堆積物を覆うロームからは阿蘇4テフラ(Aso−4:降下年代85〜89ka,同位体ステージ5a/b)や喜界葛原テフラ(K−Tz: 降下年代95ka,同位体ステージ5b/c)のガラスが検出された。しかしいずれのテフラも降下層準であることが確認された地点はない。東雲台地の同位体ステージ5c相当の段丘堆積物は、シルト薄層を伴った河川成礫層を主体とし、米代川が広い扇状地を形成していたことを示している。しかし能代断層の撓曲崖付近を境として西側では生痕を伴った海浜の砂礫層に移行する。河川から海浜に移行するする付近は現在標高30m前後であり、同位体ステージ5cの海面高度を示している。このことから東雲台地付近の平均隆起速度は、0.5m/1,000年前後と推定される。

浅内沼測線付近の古期砂丘では、洞爺テフラと阿蘇4テフラの間に厚い砂層が分布しており、この時期古期砂丘が大きく成長したことを示す。また古期砂丘背後の外岡付近には、洞爺テフラの上位にシルト/細粒砂互層が分布し、潟湖や湿地が形成されていた可能性がある。