(2)能代断層の活動性

浅内沼測線における能代断層の平均変位速度は、隆起側、沈降側に共通する同位体ステージ5相当の層準の高度差から試算される。しかし、沈降側のステージ5相当層の下限は、微化石分析の精度に問題があるため、検討に用いない。

隆起側における同位体ステージ5相当層の最上部(ステージ5a)は標高40m付近、沈降側では標高−80m付近に位置するとみられ、その高度差は約120mである。隆起側には堆積速度が大きい古期砂丘堆積物を厚さ20m程度上載しているため、平均変位速度がやや過大に見積もられる可能性がある。この点を考慮し、ステージ5相当層の最上部の年代を80,000年とすると、(100〜120m)/80,000年=1.25〜1.50m/1,000年という鉛直方向の平均変位速度が得られる。