(2)隆起/沈降側における同時堆積面の高度差の累積性

この同時堆積面の高度をボーリング孔3孔の高度で比較すると、高度差は以下のような累積性を示す。

@ 十和田aテフラの降下、堆積面は、沈降側B−10孔で標高2.55mであるのに対し、B−11孔とB−10孔ではそれぞれ標高5.30mと5.12mであり、2.5〜2.8mの高度差を示している。隆起側に配置されているジオスライサー孔では、ボーリング孔よりやや高い位置に十和田aテフラが分布することが多く、全体として高度差は3m程度である。

A A1面の離水時に形成された腐植土層を、その底部の年代測定試料の採取高度で比較すると、沈降側B−10孔では標高−3.20mに分布するのに対し、B−11孔とB−10孔ではそれぞれ標高5.19mと3.72mに分布する。隆起側に配置されているジオスライサー孔のデータを考慮すると、高度差は8〜9mに達する。

B 十和田−八戸テフラの堆積面(下面)は、沈降側B−10孔で標高−51.55mに位置するのに対し、B−11孔とB−10孔ではそれぞれ標高−39.60mと−40.58mに位置し、11〜12mの高度差を示している。

以上のことから、より古い同時堆積面のほど、系統的、累積的に高度差が増大している。すなわち十和田aテフラ降下以後の断層変位、A1面の離水時から十和田aテフラ降下までの期間での断層変位、さらに十和田−八戸テフラの堆積からA1面の離水時までの期間での断層変位が存在したことが推定される。