4−3−6 金沢断層の分布

金沢断層は,既往文献によると,松田他(1980)が地震断層が生じたと認めた範囲の南端付近の六郷町六郷東根から,横手市市街地に至るとされている。ただし断層変位地形が明瞭なのは横手市街地の北方,睦成付近までで,睦成以南は横手川の浸食により変位地形は不明となっている。ただし,その延長の市街地のT6段丘面上に南北方向に延びる,比高1m程度の低崖(現状は緩傾斜の坂道の並び)が連続し,これが金沢断層の最南部の変位地形である可能性があった。

従って,この低崖を挟む反射法弾性波探査と低崖の直下でボーリング調査を行った。反射法弾性波探査の結果は図4−15に示すとおりで,相野々層と山内層との境界付近に強い連続した反射面が認められ,断層による地層の変位を示唆するものが見られないことから,事前に想定した断層は存在しないと判断される。

また,断層崖とみられた低崖の下側(断層があるとすれば沈降側に当たる。)で掘削したボーリング(BYO−2)では,深度11mで段丘堆積物の砂礫層の下に基盤岩である相野々層の泥岩を確認している。断層の存在が明らかな三貫堰付近などで,今回の調査で掘削したボーリングや既存資料(図4−7参照)では,断層の沈降側には厚い砂礫層が分布していて,深度30mのボーリングでも基盤岩を確認していない。したがって,この点からも横手市市街地にみられる低崖は,活断層による変位地形である可能性は低いとみられる。

このように,横手市市街地にみられる低崖が,金沢断層の変位地形ではないと判断されることから,金沢断層の分布の南限は変位地形の明瞭な睦成付近とみられ,その延長は約9Kmとなる。

図4−15 浅層反射法地震探査結果と地層の対比