(1)調査地域およびデータ取得概要

太平洋プレートの潜り込み方向に直交した方向に伸びる東北地域は世界的に見ても,極めて活動的な島弧の一つである。この地域の背弧側には,島弧に平行な走向を有し,両端が逆断層で切られている二つの狭い隆起域が存在している。この内,西側の隆起域は出羽丘陵に対応し,東側の隆起域は奥羽脊梁山地に対応している。これらの隆起域は後期鮮新世以降の短縮変形により形成されたと考えられており,これらの地域にはグリーンタフと呼ばれる火山噴出物が厚く堆積している。横手盆地はこれらの二つの隆起域に挟まれた所に位置し,盆地内には上部中新統・鮮新統と第四系が広く分布している。このような横手盆地の東縁,西縁には隆起運動に関係している逆断層の存在が推定されており,これら逆断層の深部構造が明確化されると,東北地域における出羽丘陵や奥羽脊梁山地の形成過程と陸羽地震に代表される内陸地震の発生過程の因果関係が解き明かされてくるものと考えられている。この意味で,この地域を東西に横断する調査が重要である。事前踏査の結果によれば,本地域を東西に横断できる道路は限られており,ノイズの状況の観点から判断し本調査測線が最終的に選定された。