(4)今後の課題

本調査では,金沢断層の分布長さ・低位段丘と最低位段丘の各時代・各面における,概略の上下変位量を確認した。また,概略の平均変位速度と最新活動時期について推定した。 

上下変位量を求めるにあたり,解析断面上において直接各段丘面の時代を面の年代を決定していないため,その値は確定したものではなく,推定値であり,直接地層の変位も確認していない。

したがって,今後上下変位量が顕著に認められる断面上(杉沢扇状地中央縦断)において金沢断層を挟む各段丘面(T4・T5・T6面)の年代を確認するとともに,断層を含む上下盤(三貫堰地区・蛭藻沼地区)で連続した地質観察(トレンチ調査)を実施すること必要と考える。そして,これらの調査により,最新活動時期(2,100〜4,500年前)及び各段丘面(T3・T4・T5面)でのイベント数を確定して行くことは重要と考えられる。

更に,横手市市街地における最低位段丘6に認められる高まりを把握することは,金沢断層の南端部を確認する上で重要と考える。