(2)断層のパラメータの推定

本調査で得られなかったこの断層に関するパラメータは、地震の大きさ、活動間隔の2点である。これについて、下記の経験式により推定し、活動性の評価を行う。ただし、この断層は、34kmが一度に活動するのか、あるいは、断層形態の違う北東部と南西部が別々に活動するかについては、本調査では確定できなかったため、断層のパラメータは別々に計算するものとする。

1)断層のパラメーターを推定する経験式

・地震の大きさ(M) マグニチュード

    logL=0.6M−2.9  

L:断層の長さ(km)

・最大変位量(d) (m)

      d=L×10−1

・平均変位速度 (S)

断層の累積変位量(D)をその変位を得た断層変位基準の形成年代(T)で除したも

    のである。

    S=D/T (m/千年)

・活動間隔(R)

   R=d/S (年)

2)断層パラメータの試算結果

本調査では、34km全域を1つの活動区間と考えて一括放出型の地震規模や1回の変位量及び活動間隔等を推定した。しかし、現時点では活動区間を明瞭に区分する根拠はないものの、南西部と北東部で断層形態が異なることや断層露頭から計測された変位量から、2つ以上の活動区間に分割されることもあり得る。仮に北東部を14km、南西部を20kmの2つに分割した場合、北東部及び南西部の地震規模はそれぞれM6.7、M7.0と地震規模は小さくなるが、活動間隔は1.4万年、2.0万年と短くなる。したがって、地震規模、最大変位量、活動間隔の最大値は断層全体(34km)、最小値は断層の北東部(14km)となる。

なお、これらの試算結果は表4−2に示す.

 

表4−2 猿投−境川断層(高根山撓曲を含む)の断層パラメータ試算表