4−1−3 試掘露頭の解釈と最新活動時期

確認された断層の南側延長部の法面を試掘した結果、断層露頭が出現した。

この露頭では、基盤の花崗岩と急傾斜した矢田川累層の砂礫層や砂層が接し、基底面の高さには約0.5mの変位が見られる。断層に切られている地層(a層)は、断層面に沿って捲れ上がり、断層粘土に沿って礫が立って入っている。一方、その上位の地層(b層)は、これらを覆ってほぼ水平に堆積している。したがって、a層とb層の境界がイベント層準であり、この断層は「a層が堆積した後、b層が堆積する前」の1回の断層活動を読みとることができる。

地層の14C年代は、a層が11,740±60〜11,870±40y.B.P.でありb層は11,2000±100〜11,780±50y.B.Pとオーバーラップしているが、平均的な測定誤差1σ≒50y.、2σ≒100y.を考慮すると、最新活動時期は約11,800年前である可能性が高いことが明らかになった。

なお、トレンチ及び試掘からは1回の断層活動しか捉えておらず、活動履歴の解明に必要な複数回の断層活動の時期は特定できなかった。また、変位量についても断層全体での変位量の一部分しか見ていない可能性があるため特定できない。

図4−7 試掘露頭の写真とスケッチ