(2)測定結果

放射性炭素法年代測定は、藤岡町深見地区で行ったボーリング、トレンチ、試掘の際に採取した試料について行った。各試料の測定結果を表3−12に一覧表として示す。

1) ボーリングコア・トレンチ壁面

ボーリングコア及びトレンチ壁面から採取した年代測定用試料は、地層の対比に問題が生じないように、近接した範囲でかつ異なる層準(A、B、C層)となるように4試料を採取した。

分析結果では、得られた年代値は10,180±130〜27,990±390y.B.P.の範囲にあり、下位の層準から採取したものほど古い年代を示している。よって、各試料の年代値と層準は整合的であり、トレンチ調査位置周辺に分布する基盤被覆層は、最下位のA層が約28,000年前、B層が約21,000年前、C層が約10,000〜12,000年前の堆積物から構成されているとみなすことができる。

なお、この年代は地質時代では更新世後期に相当し、最終氷期の最寒氷期以前から晩氷期に当たっている。

2) 試掘調査壁面

放射性炭素年代測定のための試料としては、試掘壁面では地層中に含まれる生物遺骸が断層による切断層(a層)中の粘土層と、この直上を被覆するb層基底付近の粘土層に限られていたことから、これらの層準からMC−1〜MC−6の6試料を採取した。

分析結果では、a層の年代値は11,740±60〜11,870±40y.B.P.、b層は11,200±100〜11,780±50y.B.P.の値を示し、これらの年代値は狭い期間に集中し、かつ重なり合う結果となっている。

このような6試料の分析結果に対し、11,200±100y.B.P.と他試料に比較してやや若い年代を示すb層のMC−6試料を除いて、MC−1〜MC−5試料の年代を平均すると11,760y.B.P.となる。この平均値に対し、各試料の測定誤差は1σ≒±50y.であることから、MC−1〜MC−5の各年代値は概ね平均値±2σy.B.P.の中に含まれることになる。以上のことから、試掘壁面で試料を採取した地層はほぼ同時期の堆積物であり、その年代は概ね11,800y.B.P.頃とみなしても良いと判断される。

なお、この年代値はボーリングNo.8のC8−1試料(12,350±150y.B.P.)に近く、試掘壁面で認められたa、bの両層は、いずれも時代的にはトレンチ調査位置周辺に分布するC層と対比される。

表3−12 放射性炭素年代測定結果一覧表