(2)試掘調査の仕様

1)試掘位置

極浅層反射法地震探査及びボーリング調査結果から推定された断層線の南方延長部では、図3−40に示した、No.13〜No.15地点でボーリング調査を実施し、花崗岩と東海層群矢田川累層の境界がNo.14,No.15の間にあることを確認した。

この付近は、圃場整備前には低位段丘の縁辺部に位置しており、現況はこの段丘の縁が切土され、上段は畑、下段は水田として利用されている。地形状況からは、畑は段丘面に当たるものであり、水田との間の切土法面には第四紀の被覆層が分布していることが期待された。なお、地主より、この法面は恒に湧水があり何度か小規模な崩壊を起こしているとのことであり、確実な復旧を条件に掘削の許可を頂いた。

試掘調査はこの切土法面を対象に実施した。

2)作業方法

試掘調査においても、トレンチ調査と同様に掘削前に平面測量を行い、付近の詳細な地形を記録した後に、仕様を決定して掘削を行った。

最終的な試掘調査の位置は図3−47(1:2,500)、図3−53(1:500)及び付図7(S=1:200)に示したとおりであり、現況で1:1.4の勾配の切土法面に対し、概ね1:0.7の勾配で削り込んで地層を露出させた。掘削規模は、幅約6m×高さ約3.5mである。

掘削には、0.4m3級のバックホー1機を使用した。掘削に当たっては、掘削土を仮置きする法面下の水田を調査終了後に復旧するため、本掘削の前にこの範囲について表層の耕土をはねて仮置きした。

バックホーによる掘削終了後は、人力による壁面の整形を行ない、詳細な観察や試料採取等の作業環境を整えた。

3)一般公開

掘削終了後、本試掘調査壁面に現れた断層を一般公開した。公開は3月5日〜3月7日の3日間とし、約350名の来訪者があった。猿投−境川断層の概要や今回現れた活断層露頭の解説・意義等を説明した。

4)はぎ取り

試掘壁面での作業終了後、壁面に現れた断層露頭の記録、保存のため、はぎ取り処理を行った。

はぎ取りは、壁面下部に露出した断層を中心として、縦1.3m×横1.8mの範囲を対象として行った。

図3−53 藤岡町深見地区 試掘調査位置詳細図(S=1:500)