(4)平井撓曲・半田池撓曲

地表踏査で常滑層群の撓曲構造は検出されたが、縮尺約1/10,000の空中写真では地形面を変形させるような明瞭な変位地形は観察されなかった。これらの撓曲周辺に新規の段丘面がほとんど分布しないことも、変位地形が観察されない原因と考えられる。半田池撓曲の分布する尾根上に加木屋層が分布し東に傾いている。したがって、半田池撓曲は50万年以後活動したことは明かである。また、平井撓曲の周辺には加木屋層が分布しないことから、最近数10万年の間で活動していたという証拠は得られなかった。

平井撓曲では、常滑層群の変位量は150mであり、平均変位速度は0.05m/千年が得られた。また半田池撓曲では、常滑層群の変位量は150m、加木屋層の変位量は10mであり、平均変位速度は各々0.05m/千年、0.02m/千年が得られた。しかし、この2つの断層は、変位が記録されている地層が加木屋層で50万年以前、常滑層群で340万年以前に形成された地層であり、時代が古すぎて活動間隔を特定することは難しい。

表7−6−8 時代の変位量(平井撓曲)

表7−6−9 各時代の変位量(半田池撓曲)