2−7−2 各測線の地質断面図

今回実施した物理探査結果及びボーリング結果より地質を解釈し、地質断面図を作成した。

@A−測線 (図7−2−1参照)

加木屋断層の北端部の地質構造を把握する目的で、市道大池北線(大池公園北隣)で実施した。その結果、撓曲に伴う常滑層群の背斜構造がとらえられた。2本の常滑層群を切る断層が認められた。

AB−測線 (図7−2−2参照)

高根山撓曲の地質構造を把握する目的で、主要地方道名古屋碧南線(中央町〜朝日町)で実施した。深度450m以深が中新世の師崎層群と推定される。大府市の運動公園の1500mの既存ボーリング結果では、445.7mで常滑層群と師崎層群の境界が確認されている。

常滑層群等は殆ど水平で地層の連続性も良好である。しかし浅層反射法の分解能を考慮した場合、変位量10m程度の活断層が分布していないとはいいきれない。また、測線のさらに北西側に分布する可能性もある。

BC−測線 (図7−2−3参照)

加木屋断層の南部の地質構造を把握する目的で、県道東浦阿久比線(福住〜板山)で実施した。地層は深度500m以深に師崎層群が分布し、それ以浅は常滑層群と考えられる。常滑層群は緩やかに褶曲を繰り返している、測線の東端から約4分の1では、常滑層群の反射面はほぼ水平である。この地質構造の変化する位置に、常滑層群を切る断層が認められる。

CD−測線 (図7−2−4参照)

阿久比撓曲よりさらに南側に推定される断層を確認する目的で、神戸川右岸道路(有楽町〜新宮町)で実施した。深度約500mに師崎層群と考えられる地層が認められ、測線の中央よりやや東側を境に反射面の傾斜が変化する。その上位の常滑層群は、地層が乱れ一部切れている。地表地質踏査では、露頭が少なく地質構造が判明しなかったが、阿久比撓曲がD側線付近まで続いていることを示している。

DE−測線 (図7−2−5参照)

浅層反射法を高浜撓曲崖の地質構造を把握する目的で、高浜市稗田町〜論地町で実施した。深度450m付近に明瞭な反射面が認められ師崎層群の上面と考えられる。測線の東側半分の深度50m付近から深度150m付近までに、3枚の明瞭な反射層が認められ、最上部の反射層以浅が碧海層の基底礫層、その下は挙母層(海部層)の基底礫層(第三礫層)、それ以深の反射層は常滑層群と考えられる。

測線中央付近に地層の食い違いが認められ、その西方は、地層が傾斜しているため、この位置に断層が推定される。

E音波探査<衣浦港>(図7−2−6)

大高−大府断層と高浜撓曲崖が連続するかどうかを確認するため、衣浦港において、シングルチャンネル音波探査及びマルチチャンネル音波探査を実施した。シングルチャンネル音波探査結果では、既存資料から推定される位置に不明瞭であるが、地層のずれが認められた。しかし、このずれは最上位の沖積層には及んでいない。

また、既存ボーリングで音波探査測線沿いの地質断面を作成すると、音波探査結果で地層のずれが確認された付近で、更新統の上面に段差が認められた。この段差は、北側(上流側)が約5m下がっており、断層の存在を示唆している。

図7−2−1 A測線(東海市)地質断面図

図7−2−2 B測線(大府市)地質断面図

図7−2−3 C測線(阿久比町)地質断面図

図7−2−4 D測線(半田市)地質断面図

図7−2−5 E測線(高浜市)地質断面図

図7−2−6 音波探査測線(衣浦港)地質断面図