(2)極浅層反射法弾性波探査

@a、b測線(図7−1−6

大府高校の敷地内で実施したa、b測線における探査結果をまとめてに示す。調査断面内には沖積層と常滑層群及び部分的に盛土が分布する。沖積層は表層に極薄く1〜2mの厚さで分布する。

常滑層群は、反射面の形状から概略的には東側に緩く傾斜(20〜30度)した構造を示している。一方、a測線の距離100〜120m付近では反射面が下方に引きずり込まれるような形に分布している。ボーリングNo6では、層理面の傾斜が40〜60度と高角になっており、物理探査結果と整合的である。また、S波探査の結果においても、距離100m付近で深度1〜2mに分布する反射面が切れている様子がうかがえる。さらにa測線の距離50〜60m付近でも反射面の不連続と乱れが認められる。これらの箇所は空中写真判読で地形に段差がみられたところに相当し、断層が想定される。また、これらの箇所を挟んで行ったボーリング調査(No4とNo5、No1とNo2)では、2本のボーリングの間で表層に分布する盛土の厚さが異なり、沖積層の底面標高も異なることから、想定される断層は沖積層を切っている可能性が高いと考えられる。

a、b測線においては、従来その周辺において地形判読などから大高−大府断層が想定されていたが、本地域においては特定されていなかった。今回行った物理探査により、2条の断層がa測線の距離50〜60m及び100〜120m付近に位置することが推察され、その周辺の詳細な構造を把握することができた。さらに沖積層が数m程度と薄かったため、物理探査の記録からは断層が沖積層を切断しているか確実に判読することはできなかったが、ボーリング調査と併せて考察した結果、これらの断層は沖積層を切っている可能性が高い断層であることがわかった。

Ac測線(図7−1−7

断面内には沖積層と常滑層群及び盛土が分布する。盛土の厚さは、既存資料などから3〜4mの厚さと推定される。さらにその下に数m以下の沖積層が分布すると推定される。

常滑層群は、反射面の形状からほぼ水平か若干西側に傾斜した構造を示している。また、断層等に起因するような反射面の不連続や変位は確認されなかった。

C測線においては、大高−大府断層の一部が分布すると推定されたが、測線の西端で常滑層群の反射面がやや乱れ、測線のさらに西側に分布するものと推定される。

Bd測線(図7−1−8

断面内には沖積層と常滑層群が分布する。沖積層は、距離90〜160m付近の表層に数m程度の厚さで分布すると推定される。

常滑層群は、反射面の形状から概略的にはほぼ水平か若干東側に傾斜した構造を示している。一方、距離120〜140m付近では反射面が不鮮明となり、その西側では反射面が下方に引きずり込まれるような形に分布している。そして、この付近の露頭に断層が認められることから、距離120〜140m付近の反射面の不連続部に断層が想定される。

D測線においては、地形判読などによって加木屋断層が分布すると想定されていたが、正確な位置ははっきりしていなかった。今回行った物理探査によって、断層が距離120〜140m付近に位置することが推察され、その周辺の詳細な構造も把握できた。

Ce測線(図7−1−9

断面内には沖積層と常滑層群が分布する。沖積層は、表層に数m程度の厚さで分布すると推定される。

常滑層群は、反射面の形状から概略的にはほぼ水平な構造を示している。その中で、距離60m付近の反射面が不連続になっている箇所に小規模な断層が想定される。また、地形判読から断層が想定されていた距離120〜150m付近は、その西側のボックスカルバートの影響により不明瞭ではあるが、反射面が若干上側に持ち上がった形状を示している。

E測線においては、地形判読などによって阿久比撓曲が分布すると想定されていたが、正確な位置ははっきりしていなかった。今回行った物理探査では、地形判読等を参考にして測線距離120〜150m付近に断層が想定された。