(2)掘削方法

1)搬入方法

調査用ボーリング資材の搬入は、移動式クレーンの付いた2t〜4tトラックで行った。調査地点までトラックで直接搬入することが困難な場合には、トラック搬入後、人力による搬入を行った。

ただし、東海−bPとbRおよび半田−bP〜bQについては、自走可能なキャタピラー付きのボーリングマシンを用いたため、現場付近まで10tトレーラーで搬入した後、ボーリング実施地点まで自走して搬入した。ただし、ボーリングマシン以外の資材については、移動式クレーンの付いた4tトラックで搬入した。

2)ボ−リング工法

東海−bQ、阿久比−bP〜bRおよび高浜−bP〜bQにおいては、φ65oのコアーを採取するため、ボーリング孔径はφ86oで採取した。ただし、地層が軟質で孔壁が保てない区間までは、ケーシングを用いて孔壁保護を行なった。そのためケーシング挿入区間は、孔径φ86oで削孔した後にφ116oに拡孔した。

土砂部においては、送水することによって粘土分が流失することを防ぎ、試料採取率を上げるため無水堀りを原則とした。土砂部の無水堀り区間においては、シングルコアチューブとメタルクラウンを利用した。軟岩部においては、送水掘りを原則としたが、風化帯および軟質部においては、コアー脱落防止のために一部無水堀とし、100%コアを採取した。軟岩部においては、ダブルコアチューブを用い、地質の堅さによってメタルクラウンを中心として、ダイヤモンドビットも使用した。

東海−bPとbRおよび半田−bP〜bQについては、新工法である、ロータリーパーカッションドリル(RPD)ワイヤライン工法を用いた。コアー径φ68oのサンプルが採取でき、軟岩部でも日進10m以上の掘進が可能であった。

3)仮設関係

東海−bQ、阿久比−bP〜bRおよび高浜−bP〜bQで用いた通常のボーリングマシンによる、仮設足場および作業状況を図4−1−5に示す。

東海−bPとbRおよび半田−bP〜bQで用いたRPDワイヤライン工法は、自走式の機械であるため、仮設作業は必要としていない。このボーリングマシンによる作業状況の写真を、図4−1−6に示す。

ボーリング作業によって、周辺に危険を及ぼす可能性が考えられる場合には、作業範囲をバリケードで囲いをして、危険防止に努めた。

4)使用機械及び関連資材

本調査に用いたボーリング機械を表4−1−2に、ボーリング調査に用いた代表的な機材を表4−1−3に、各々示す。

表4−1−2のうち鉱研工業の機械は、RPDワイヤライン工法(ロータリーパーカッション工法とワイヤライン工法を組み合わせた新工法)によるボーリングマシンのプロトタイプであり、モデル名はまだ無い。その他のボーリングマシンは、すべて油圧式の調査用ボーリングマシンである。

表4−1−2 使用ボ−リング機械一覧表

表4−1−3 主要使用機器一覧表

図4−1−5 ボ−リング掘進状況図

図4−1−6 ロータリーパーカッションドリル(RPD)ワイヤライン工法作業状況写真

(4)掘削仕様

整理した試料は、写真撮影後、入念に観察を行い、観察事項をボーリング柱状図としてまとめた。

@採取コア:削孔径86oのオールコアサンプリングとした。

Aコア採取率:細砂層、シルト層、粘土層、ロームについては90%以上。

中砂〜巨礫層については50%以上。

B孔口水準測量:各試錘孔の孔口海抜高度を、三等水準測量の精度で測量した。

C採取コアの処理

(ア)写真撮影

採取したコアは5m収納用のコア箱に収納し、各コア箱には、孔番号,深度を記入して整理した。コア箱は、「ボーリング柱状図作成要領(案)解説書(昭和61年11月(財)日本建設情報センター発行)」に準拠した。また、コアを縦方向に半割にし、片側の表面をきれいにして、1箱毎に写真撮影をした。このとき、地点番号、深度、スケール、上下方向を表示した。

(イ)コアの肉眼観察および柱状図の作成

肉眼で半割コアを詳細に観察し、層相、粒度、色調、堆積構造、化石等のコアの特徴を把握し、これらの特徴を適切に表現したコア柱状図を作成した。

(ウ)分析・測定用試料の採取

次に示す試料を半割コアの片方から採取し、チャック付きのポリ袋に入れ、袋に地点番号、深度、採取年月日を記載した。

a)14C(炭素同位体)年代測定用試料:木片、貝殻等

b)テフラ試料:火山灰層等

c)花粉・珪藻分析用試料:粘土層等

掘削完了後は、セメントを用いてボーリング孔を埋め戻し、掘削用地を現状に復旧した。