(1)加木屋断層

浅層反射法により撓曲に伴う断層の存在が明らかになり、撓曲構造の西側の大田川沿いに中位段丘面を切る断層が推定された。また、この段丘面を切ると推定される断層の位置で極浅層反射法を実施したところ、測線に断層が検出された。

従来加木屋断層の南部は、阿久比町東部へ続くと考えられていたため、その連続性を確認する目的で、阿久比町北部で浅層反射法のC測線で探査した。その結果、常滑層群(340万年以前に形成された地層)を切る断層は認められたが、沖積層(最近1万年間に形成された地層)を切る断層は認められなかった。また、他の測線で断層の傾斜が70゚〜80゚とやや傾斜しているのに対し、この断層の傾斜はほぼ鉛直であるため、別の断層である可能性が高い。

地形(河川の形状)や加木屋層(50万年前以前に形成された地層)の走向・傾斜からは、加木屋断層の南部は、阿久比撓曲に延長すると考えられる。従来の阿久比東部の断層(浅層反射法C測線の断層、尾根の連続では阿久比川を横断し南東に続く)は別の断層と考えられる。

この加木屋断層の一部とされていた阿久比東部の断層を、新たに阿久比東部撓曲と仮称する。また、その延長は約3.5qとなる。なお、加木屋層の分布状況からは、阿久比東部撓曲は、この数10万年間に明瞭な活動はない。

表5−4 各時代の変位量(加木屋断層)